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エネファーム 普及進まぬ2つの理由

エネファーム 普及進まぬ2つの理由

 発電と給湯の二役を担うエネファームは、国が掲げるロードマップにおいて、2020年頃に市場自立化を実現した上で、2030年までに530万台の導入を目指している。しかし、現状は19年12月時点で累計約33.6万台。目標達成には残り10年間で500万台を導入する必要があり、年間約5万件で落ち着いている市場規模を鑑みると、実現は厳しい状況となっている。豊富な補助金まで用意されている同機であるが、何故イマイチ普及が加速しないのか。高性能住宅や各種機器・建材の省エネ評価等に精通する東京大学の坂本雄三名誉教授の意見や最新の調査レポートから普及が進まない理由を紐解く。

理由①:頻発する故障・トラブル、2回以上経験が60%

 1つ目の理由が故障回数の多さである。生活者情報や地域情報の調査・分析を行うくらし・まち研究所(竹内俊文社長)が1~2月にかけて行った、主に設置10年前後の高効率給湯機ユーザーに対する使用感や評価等のアンケートによると、エネファームの故障回数について、回答数70件に対し約60%が2回以上、7~9回とする回答も24%を占めた。回答数の差異には留意が必要だが、修理経験世帯の件数はエコキュート8件に対し、エネファームは48件と圧倒的に多いことが明らかとなった。事例としては「基盤や部品の劣化による都度交換」、10年以上使用するユーザーでは「頻繁にエラーが出て発電機能がストップし、その度に依頼していたが保証期間が切れたため、次に壊れたときは(発電ユニットの機能を停止させ)給湯機能のみ使用することになると思う」などの声が挙がっていた。基本的に10年間の保証が付帯されているが、一部は修理費用も要したとし、2回以上経験したユーザーでは計1.5~5万円程度掛かったとしている。

理由②:給湯設備として倍以上するイニシャルコスト

 エネファームの普及が進まない大きな要因として、坂本教授は「現状ではまだコストの課題がある」と指摘する。無論、発電機能なども有する分、コスト増となることは致し方ないが「エネファームとはライバル機器となるが、エコキュートなどヒートポンプを活用した機器は、エネルギーの利用効率が高まったことで、従来製品に取って替わり、住宅仕様の一つのスタンダードとなった。無論、これらオール電化機器も当初は高額製品であったが、市場に理解が深まり、普及につれて価格も大きく低減された。エネファームも高性能住宅の一つの仕様として採用されていく中で、今後どうなっていくか」と語る。
 事実、エネファームの市場価格は、80~134万円(同機補助金の想定価格ベース)であり、スペックにもよるがエコキュートの2倍程度要する状況。例年実施されている補助金の想定価格と合わせ、年々コスト低減が図られているが、エコキュートは一般的に30~50万円前後であり大きな差がある。エコキュートは価格と性能のバランスから02年の上市以降、年間10万台増ペースで拡大。10年を経たずして08年には50万台規模にまで成長した。エコジョーズも同様の普及カーブを描いており、スタンダード化している他の給湯機と比べると、導入費がネックとなり普及ペースが緩やかであることは否めない。

留意点:発電機として捉える上での留意点も
「創エネではなく省エネ設備という認識が必要」


 大きな障壁はあるが、高効率機器としてZEHの構成機器の一つとしても認められているエネファーム。またZEHの定義一部改定により発電電力を一次エネルギー消費量の計算に反映できるものとなった。しかし、発電機能を捉える際の留意点として、坂本教授は「エネファームの様なコジェネレーション設備は、排熱を利用することからエネルギーの利用効率は高い。しかし投入するエネルギーから100%を超えることはない」と説明する。つまり、発電はしているものの、エネルギーを創っているわけではないということだ。「厳密にいうと、ガスのエネルギーを電気と熱に変換しているため、創エネではなく省エネとなる。今後普及を進めていく上で、一般消費者に誤解を招かないためには、機器販売や住宅事業者などの扱い手は、認識しておいた方が良いだろう」と警鐘を鳴らす。これら障壁を超えた先に、本格普及への道が見えてくることだろう。

※本記事は次代住宅専門誌 『月刊スマートハウス』 No.63に掲載したものより抜粋しています。