ZEHをはじめとする高性能住宅の台頭により、1戸当たりの使用量が増えることで、今後も総需要の拡大が期待される住宅用断熱材。健康で快適な住まいを実現する上で欠かせないアイテムである。
そんな住宅用断熱材のうち市場シェアの過半近くを占有するグラスウール断熱材だが、この"グラスウール"の断熱材としての起源は1904年頃まで遡る。硝子繊維協会によると、チェコのボヘミヤで綿状のガラス繊維の試作に成功したのが実用化の始まりとみられ、1908年にはプラハ大学教授によってバット状にしたグラスウールの断熱性能が優れていることが発表された。
それから、工業材料として注目されたのは第一次世界大戦からで、ヨーロッパにおいて船舶用の断熱材として使われていた石綿が不足したことにより、グラスウールが代替品として活用されるようになったとしている。
一方、日本におけるグラスウールの工業化は1937年頃となるが、とりわけ成長したのは戦後。電気冷蔵庫が家庭電化三種の神器の一つとして普及するのに伴い断熱材としての需要が急増したのである。
その後、2度のオイルショックによってあらゆる産業から国民に至るまで省エネルギーへの意識が芽生え始めるわけだが、第一次オイルショック前の1970年、旭ファイバーグラスが住宅専用として初となるグラスウール断熱材『マットエース』を販売した。以降、1979年には省エネ法が制定され、住宅の断熱に対する意識は更なる高まりを見せ、住宅向け断熱材としてのグラスウール需要は急速に拡大していったのだった。
今や地域を問わず、標準的に住宅に用いられるグラスウール断熱材。今後も、人目につかない場所(壁の中等)で裏方に徹しながらも、最も重要な役割を担っていくことだろう。
※本記事は次代住宅専門誌 『月刊スマートハウス』 No.61に掲載したものより抜粋しています。
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