開口部は住宅の中で最も熱を逃しやすい。結露した窓ガラスに絵を描いたことがある人は感覚的に理解しやすいだろう。しかし近年、窓枠の素材は主流であったアルミより熱伝導率が1,000分の1となる樹脂へ移行し始め、窓の結露は常識ではなくなってきた。
シェアを獲得し始めた樹脂サッシの開発は1966年まで遡る。当時サン・アロー化学という塩化ビニル樹脂メーカーだったエクセルシャノンが、付加価値の高い塩ビ樹脂製品を模索していた際にアメリカから情報を仕入れたことが始まりとなる。
樹脂サッシ先進国のドイツの技術をベースに開発を進めるものの、変形しやすく組み立てることが困難だったという。ようやく試作品が出来上がったのは75年のこと。札幌市にある研究所に設置し効果を検証した後、76年に同市内のモデルハウスに日本初となる樹脂サッシ『シャノンウィンドウ』が採用された。
販売を行っていた北海道での定着には時間を要した。当時の樹脂は洗面器やバケツなどの安いプラスチックを連想させ、壊れやすいイメージが持たれていた。加えて北海道では二重窓にしなければならない法律が定められていた。独自に断熱性能値を算出し、一枚だけでアルミサッシの二重窓と同等以上の断熱性能があると建設大臣より認められたのは更に2年後の78年となった。
現在では北海道の住宅のほとんどに樹脂サッシが採用されている。「樹脂サッシの開発に成功し、啓発してきたことが認められたと考えている」(担当者)と自信を覗かせた。全国的に見ると20%ではあるものの確実にシェアを伸長させている。絵描き遊びを懐かしむ日はそう遠くないかもしれない。
※本記事は次代住宅専門誌 『月刊スマートハウス』 No.63に掲載したものより抜粋しています。
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