対談

【対談】長州産業×ディートレーディング:太陽光設置用屋根を リフォーム用途で共同開発

【対談】長州産業×ディートレーディング:太陽光設置用屋根を リフォーム用途で共同開発

 国内太陽光発電システムメーカーの長州産業(岡本晋社長)と屋根メーカーのディートレーディング(藤山大介社長)が、拡大するリフォーム市場を見据え、屋根の改修工事と同時に太陽光発電を設置できるシステムを開発した。屋根材と太陽光発電を組み合わせた一体型パネルとしての製品はあった。しかし、純然たるパネルメーカーと屋根メーカーが共同で製品化したケースは数社に留まる。

 この新開発の屋根について、開発の経緯とともに、商品への想いを長州産業で新プロジェクト推進室室長を務める落合徳裕氏と、ディートレーディング常務執行役員である髙木強氏に語ってもらった。

―今回の製品開発のキッカケは?

髙木 スレート屋根の改修市場は年々伸びているし、これからも拡大していく。これは当社自身も強く感じており、屋根の葺き替え受注は増えている。そんな折、長州産業さんからお声がけがあり「太陽光発電システムの工事と合わせて屋根リフォームが出来ないだろうか」となった。何より、長州産業さんは当社顧客からのヒアリングでも太陽光発電システムメーカーとして好感度は高かったし、実力ある国内メーカーと認識していたから願ってもないお話だった。

落合 そもそも、ディートレーディングさんと当社は、リフォームや屋根・建材等の展示会で3年前にご挨拶したことから始まる。高い耐久性と耐候性、長期の保証年数、意匠性といった特長ある屋根材に魅せられたのが印象的。なんとか、当社の太陽光発電システムを、屋根リフォーム時にスレート改修カバー工法とともに載せられないかを考えた時、すぐにディートレーディングさんが浮かんだ。すぐに足並み揃えて製品開発に動くことができ、当社のエネルギーシステム総称『ソラトモ』と屋根を組み合わせ『ソラトモ スマートルーフ』と名付け、両社で商標登録を済ませた。

―具体的にどのようなメリットを生みますか?

落合 太陽光発電システム設置と屋根の改修を同時に行うため足場も共用でき、トータルでの手間は省け、コストダウンにも繋がる。それよりも、30年という長期スパンで屋根を見た時、施主さんにとって大きな安心が生まれる。

髙木 落合さんの仰るように、初期工事だけでなく、10年、15年、20年の屋根のメンテナンスを考えてもらいたい。当社の屋になる。また、これには足場を含んでいない。

落合 他にも30年もすれば、住宅は色々なところが痛んでくる。この100万円を、家のメンテナンス代や新たな設備の導入費用に充ててもらいたい。

髙木 万が一、太陽光発電システムを外さなければいけない時も、屋根に穴をあけない施工で設置しているから、きれいに取り外せる。販売店の方々にはリフォームにつなげていく必須アイテムとして。ユーザーの皆様には、長寿命のコストメリットと屋根メーカーと太陽光発電システムメーカー、それぞれの技術が結集してこそ出来た安心感を届けたい。

―屋根改修と太陽光パネル設置の融合ということですから、
相当な時間が掛かったのでは?

髙木 当社のカバー工法施工時に、長州産業さんの太陽光発電システムを同時設置出来るよう、16年から検証を開始した。模擬屋根を作り、金具を選定したり、サイズを確認したり…。屋根メーカーにとっては新しいことばかりだった。17年には工事のためのマニュアルが完成し、18年初からは屋根事業者に向けた販売の方向付けや、施工研修も開始した。

落合 これらを両社でワーキンググループを作り、月に2~3回は打ち合わせ、トライアルしてきた。今年の10月以降からジワジワと商材が流れ始めた。提案する会社も増えており、既に手応えも感じはじめている。

―太陽光発電システムメーカーと屋根メーカーのコラボ製品は全国でも珍しいです。

髙木 屋根は劣化し割れ、そして葺き替える。当然、この時に足場を組む必要があるわけだが、本来、このタイミングにこそ太陽光発電システムを搭載するべき。売電、自家消費といった経済メリットはもちろんのこと、日本だけでなく、地球規模で捉えても自然エネルギーを積極的に利用しなければならないフェーズになってきた。ソーラーのメーカーが屋根材メーカーと連携を考えたのは画期的。

落合 太陽光発電システムの発電保証は25年と長い。屋根メーカーであればどこでもいいわけではなく、ディートレーディングさんの屋根は製品保証が30年と長いことからマッチすると思った。パネルも屋根も長期で施主さんとお付き合いすることになる。パネルだけ、屋根だけという考え方から脱し、差別化を図れる提案型商品として最良の製品ができたと自負している。

―この製品の上市により、販売チャネルはどうなっていきますか?

落合 今まで両社でお付き合いしてきたお客様は、太陽光発電システムの専業施工者か、屋根工事者で区分される。今回の新製品『ソラトモ スマートルーフ』を取り扱うことで、どちらの工事も行える事業者さんになって頂きたい。両社の顧客の事業は異なるが、領域はクロスしていく。蓄電池も含めて、家丸ごとのビジネスへ向かうため、エネルギー機器の取り扱いのプロとして、成熟されると考える。そして、将来的に拡大するリフォーム需要に対して、あらゆるニーズに応えられるような手助けが出来れば。

髙木 屋根の修理に対して、太陽光設置が提案できる。その逆も然り。アプローチ方法が変わってくる。共通して言えることは、太陽光導入と屋根の改修を皮切りに、光熱費契約の見直し、住宅設備機器のリプレイス、宅内外のリフォームへと幅広く対応できる業者が必要になってくる。ストック住宅を考えると、リフォーム市場はまだまだこれからであり、『ソラトモスマートルーフ』の需要拡大はそう遠くない。

―ありがとうございました。

※本記事は次代住宅専門誌 『月刊スマートハウス』 No.47に掲載したものより抜粋しています。