対談

【対談】ラストワンマイル×NTT西日本:スマートハウス構築に新展開!? IoTサブスクリプションモデルが遂に登場

2019/10/2 15:00

【対談】ラストワンマイル×NTT西日本:スマートハウス構築に新展開!? IoTサブスクリプションモデルが遂に登場

2019/10/2 15:00

 スマートハウス構築に向け新たなビジネスモデルが誕生した。ラストワンマイルは2019年10月1日、NTT西日本が提供する「光コラボレーションモデル」を活用し、IoTのサブスクリプションサービスをスタート。近畿圏を中心に「まずは月間100件の契約をめざす」としている。果たして何が始まろうとしているのか。事業の中心人物であるラストワンマイルの清水社長と、ラストワンマイルへ光回線を提供するNTT西日本アライアンス営業本部の河村第二営業部門長に将来展望を訊いてみた。

――まずは両社の協業経緯について教えて下さい。

清水 当社は2012年に設立した比較的まだ若い会社で、新生活に伴う電力・ガス・通信といったライフラインをワンストップで契約できるサービス『まるっとシリーズ』を提供しています。これは主に引越しされる方を対象に当社1社へ申込むだけで支払いを一元化することができるというものです。個人だけでなく法人向けにもカスタマイズし、インサイドセールスによる営業サポートも行っています。大手不動産会社、建設会社、ハウスメーカーなど約2600社の企業と提携。新しいビジネス領域「新生活マーケット市場」を開拓しているところで、時代に求められる“生活プラットフォーマー”をめざしています。

河村 ラストワンマイルさんとは以前よりインターネット回線の取次・代理店としてお付き合いがありました。2015年よりスタートした「光コラボレーションモデル」という当社事業を契機に協業体制を深めているところです。これは事業者がNTT西日本から光回線を借受け、自社サービスを組み合わせることでオリジナルプランとして展開できるというもの。料金体系を含め自由にプランを設計することができるのが特徴です。「光コラボレーション事業者」は光回線等の卸提供を活用するという位置づけになり、ラストワンマイルさんはその有力な一社です。この光コラボレーション事業を進めていく中で「何か面白いことができないか」「これまでにない価値をお届けしたい」と検討を重ねた結果、快適な住まい環境を実現するスマートハウスに注目しました。今回の取り組みはその一環となります。

――具体的に始められるサービスはどのようなものですか?

清水 当社が運営する光インターネット『まるっとひかり』の新メニューとして「ホームIoTプラン」というプランを設定しました。具体的にはNTT西日本さんの光回線とパナソニックさんが販売するスマートHEMS『AiSEG2』本体を月額5,980円(税抜)でパッケージ化し提供するというものです。インターネット回線にIoTを加えたサブスクリプションモデルとなります。加入者は高速インターネット回線の利用はもちろん、家全体の使用電力量を判断し機器を自動制御する、外出先からエアコンや照明、電子錠、浴室給湯など『AiSEG2』連携機器をまとめて操作する等の便利なサービスを受けることができます。さらに、着荷お知らせサービスやエアコン自動制御、子どもや高齢者・ペットの見守りカメラ、光回線を使ったテレビや電話の利用といった有料オプションも用意しています。

河村 世の中的に「家電は遠隔操作や自動化が可能である」といったことは何となく理解されているようですが「実際にどのように設定するのか」「誰に依頼すればいいのか」といったことが明確ではなかったと思います。今回はそれをラストワンマイルさんが具現化した形と言えます。

清水 使い始めれば大変便利なのですが、スマート化の初期設定はハードルが高い。この点、サービスの中に予めIoTを組み込んでいけば自然とスマートハウスが構築されていく。値段設定もネット回線のみの市場価格と大差ない。普及の後押しになればと思います。

――事業者が採用するメリットは?

河村 住宅事業者さんの中には「ゼロエネに加えIoTを活用した住宅提案をしてみたい」というニーズがある一方で「設定の手間」や「サービス体制の構築」がネックとなり躊躇されるケースが散見されました。では、この点をセットにできないか。というのが、そもそもの着眼点です。事お知らせサービスやエアコン自動制御、子どもや高齢者・ペットの見守りカメラ、光回線を使ったテレビや電話の利用といった有料業者さんが考えるスマートハウス提案のサポーターになりたいですね。また設計・提案段階だけでなく、家を建てた後もHEMSを介し「ご自宅の調子はどうですか」「そろそろリフォームが必要です」など、お施主さんとのコミュニケーションが取りやすくなる。万が一の災害時等はHEMSで情報発信や安否確認できるなど付加価値を打ち出せる点もこのモデルのポイントになるかと思います。

清水 河村さんがおっしゃる通り、正にかゆいところに手が届くといったところでしょうか。工務店さんが手掛けるには手間となってしまう“ラストワンマイル”という部分をサポートできればと考えています。設定や機器の故障、インターネットの接続トラブルまで、インサイドセールスセンターの専門コンシェルジュが対応していきます。

――なるほど。では、最後にサブスクリプションモデルの将来構想は?

清水 将来的には家電のサブスクリプションモデルの組込みを構想しているところです。月額で支払うというサービス体系は、時代の流れとして当たり前になっていく。販売・所有という概念に変革を起こしていきたいと考えています。

河村 家とインターネット環境は別と考えている場合が多いと思いますが、スマートハウスの世界は一体となっており、切り離すことができません。今回のモデルのように設計段階から入っていくことで、まずは、その道筋を示していきたい。今後に関しても取組を進めていく中で様々なサービスを追加検討できるのではないかと考えています。

――今後の進化が楽しみですね。ありがとうございました。

※本記事は次代住宅専門誌 『月刊スマートハウス』 No.58に掲載したものより抜粋しています。