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【News Release】エマルションフローテクノロジーズ:リチウムイオン電池の高純度レアメタルリサイクルを目指してエンビプロ・ホールディングスと共同研究契約を締結

2021/8/2 11:00

【News Release】エマルションフローテクノロジーズ:リチウムイオン電池の高純度レアメタルリサイクルを目指してエンビプロ・ホールディングスと共同研究契約を締結

2021/8/2 11:00

発表日:8月2日
発表元:エマルションフローテクノロジーズ
表 題:リチウムイオン電池の高純度レアメタルリサイクルを目指してエンビプロ・ホールディングスと共同研究契約を締結

 株式会社エマルションフローテクノロジーズ(本社:茨城県那珂郡東海村、代表取締役社長:鈴木裕士、以下「EFT」)は、溶媒抽出技術エマルションフローを用いたリチウムイオン電池(以下、LIB)からの低コストかつ高純度なレアメタル回収の実現を目指し、リチウムイオン電池リサイクル事業を推進する株式会社エンビプロ・ホールディングス(本社:静岡県富士宮市、代表取締役社長:佐野富和、以下「エンビプロHD」)と共同研究契約を締結しました。両社はそれぞれの強みを持ち寄って新たなLIBのレアメタルリサイクルフローを確立することで、両社の持続的な企業価値の向上及びレアメタルリサイクルを通じた持続可能な社会の実現に貢献することを目指します。

 ハイテク産業に必要不可欠なレアメタルは輸入に頼らざるを得ないために供給が不安定であり、ひとたび供給不足を生じれば世界の脱炭素社会の推進に甚大な影響を及ぼします。特に、昨今のカーボンニュートラルの流れから、電気自動車の普及に伴うレアメタルの不足が確実であり、その安定的なレアメタル資源確保が課題となっています。しかし、レアメタルのリサイクル技術の多くが実証段階にあり、いまだ事業化に至っていないのが現状です。特にレアメタルの回収には複雑で高コストな分離精製が必要であるために、採算を得ることが困難でした。

 EFTは、国立研究開発法人日本原子力研究開発機構(以下、原子力機構)が開発した溶媒抽出技術「エマルションフロー」を活用した事業を展開するベンチャー企業であり、2021年4月5日に設立され、同年6月3日に原子力機構発ベンチャー企業として認定されました。このエマルションフローは、従来の溶媒抽出技術に比較して、低コストで高効率に高純度な元素分離を可能にする革新的な技術であり、レアメタルを取り巻く課題を解決できると期待されています。特に、EFTのレアメタルリサイクル事業では、このエマルションフローを活用することで、LIBなどに含まれるレアメタルを低コストで高純度に回収する技術を確立し、「都市鉱山」から回収したレアメタルをハイテク産業に直接再利用できる「水平リサイクル」の実現を目指しています。

 この度EFTは、エマルションフロー技術を用いることで、LIBからのレアメタルの水平リサイクルを実現するため、LIBリサイクル事業を推進するエンビプロHDと共同研究契約を締結しました。エンビプロHDは、2010年よりLIBリサイクルの研究開発を進め、2018年1月に株式会社VOLTA(以下、「VOLTA」)を設立しLIBリサイクル事業に参入しました。2020年には、リサイクル設備が稼働しニッケル、コバルト、リチウムを含むレアメタル濃縮滓の生産・販売を開始しています。VOLTAでは、2022年に既存レアメタル濃縮滓製造工場の拡張、2025年には湿式製錬工場を稼働、その後の前駆体製造を含めたLIBリサイクルシステムの構築を目指しています。

 本共同研究契約では、エンビプロHDは、LIBの集荷、1次処理したレアメタル濃縮滓の提供や溶媒抽出技術の各種知見の提供を担い、EFTは、LIBリサイクルの事業化を見据えたエマルションフロー装置のスケールアップ開発、そしてエマルションフローによるレアメタル抽出フロー開発を担います。両社はそれぞれの強みを持ち寄って新たなLIBのレアメタルリサイクルフローを確立することで、両社の持続的な企業価値の向上及びレアメタルリサイクルを通じた持続可能な社会の実現に貢献することを目指します。

■エマルションフロー技術説明
 溶媒抽出とは、物質の分離・精製手法の一つであり、互いに交じり合わない液相間における物質の分配を利用することで、目的成分のみを選択的に抽出するための技術です。例えば、抽出剤を含む油相と金属イオンを含む水相を混ぜ合せることで、油相と水相の界面において、抽出剤が金属イオンと結合します。その後、重力による油相と水相の分離を待てば、油相側に金属イオンを抽出することができます。このように、従来の溶媒抽出技術では、液相どうしを「混ぜる」、「置く」、「分離する」の3工程を必要としますが、エマルションフローは「送液」のみの1工程で、これら3つの工程をすべて同時に行うことが可能な革新的技術です。

 そのため、エマルションフローは従来技術の10倍以上の生産能力を可能とし、ゆえに従来比1/10以下のダウンサイズに加え、ランニングコストの80%削減を実現できます。また、密閉構造のために無臭で快適な作業環境を実現するとともに、IoT管理による自動化も容易なために、人件費の削減にもつながります。さらに、エマルションフローの有する高い油水分離能力は、水相の廃水処理における環境負荷の低減を可能にします。そして最近では、このエマルションフローを進化させ、従来比100倍の生産能力と99.99%以上の高純度化、また、従来技術では分離の難しいレアアースなどの元素分離を可能にする「多段エマルションフロー」の開発にも成功しています。この多段エマルションフローは、低コストで高効率にレアメタルの高純度精製が可能な唯一の方法であり、EFTの事業のコア技術となります。

〔公式ページ〕
エマルションフローテクノロジーズ:リチウムイオン電池の高純度レアメタルリサイクルを目指してエンビプロ・ホールディングスと共同研究契約を締結

※掲載テキストは発表情報の全文または一部抜粋です。元となるプレスリリースは発表元による発表当時のものであり、最新情報とは異なる場合があります。※詳細情報は公式ページをご参照ください