News Release

【News Release】電力中央研究所:ネットゼロ排出達成時におけるCO2排出・除去の態様―IPCC SR15シナリオデータを中心とした検討―

2020/11/6 20:00

【News Release】電力中央研究所:ネットゼロ排出達成時におけるCO2排出・除去の態様―IPCC SR15シナリオデータを中心とした検討―

2020/11/6 20:00

発表日:2020年11月6日
発表者:電力中央研究所
表 題:ネットゼロ排出達成時におけるCO2排出・除去の態様―IPCC SR15シナリオデータを中心とした検討―

概要 (図表や脚注は「報告書全文」に掲載しております)
背 景
 近年、長期的な温室効果ガスのネットゼロ排出に注目が集まっている。気候変動に関する政府間パネル(IPCC)による 1.5 度特別報告書(SR15)では、1.5 度及び 2 度の温度上昇と整合的な、グローバルなCO2のネットゼロ排出の達成時期が明記された。
 各国でもネットゼロ排出目標の設定がなされており、そこでは達成時期が目標として掲げられている。ネットゼロ排出達成時に排出が残存する部門や、残存する排出量、それと等しい吸収・除去の実現方法には、様々な可能性がありうるが、こうしたネットゼロ排出達成時の態様は、政策的な議論において、ほとんど着目されていない。

目  的
 ネットゼロ排出をめぐる科学と政策の動向、並びに諸外国におけるシナリオ分析を踏まえつつ、SR15 におけるネットゼロ排出シナリオを分析し、ネットゼロ排出達成時のCO2排出・除去の態様を明らかにする。

主な成果
1. ネットゼロ排出をめぐる科学と政策の動向
 「温度上昇と累積 CO2 排出量の近似的な比例関係」から、温度上昇を抑えるには、グローバルな「CO2 のネットゼロ排出」の達成が必要である。昨今、長期的なネットゼロ排出達成の宣言が盛んに行われているが、大半の国は達成時期に言及するのみである。

2. ネットゼロ排出達成時におけるCO2排出・除去の態様の多様性
 英国とEUのシナリオ分析では、ネットゼロ排出達成時の態様は一様ではなかった。これを踏まえ、SR15 におけるネットゼロ排出シナリオを分析し、ネットゼロ排出達成時のCO2排出量が多様であること(図1)、部門別では、エネルギー需要と産業プロセスのCO2排出量は全てのシナリオでプラスである一方、エネルギー供給と土地利用の CO2 排出量はプラス・マイナスどちらのシナリオもあることを明らかにした(図 2)。エネルギー供給の中では、電力と液体燃料のCO2排出量の符号がわかれる。

3. ネットゼロ排出達成時におけるCO2排出・除去の態様の類型化とその効用
 二酸化炭素除去(carbon dioxide removals、以下CDR)の導入が想定される部門(電力、電力以外、土地利用)の組合せ方により、7つの類型があることを示した(表・図3)。

 これらの類型を用いると、例えば、ネットゼロ排出時の態様に応じた、各部門で必要となる排出削減のおおよその規模を把握することができる。また、国や地域のシナリオ分析にも適用可能である。このように、ネットゼロ排出達成時の CO2 排出・除去の態様を体系的に理解することで、ネットゼロ排出に関する政策的・社会的な議論に対して材料を提供することができる。

今後の展開
 ネットゼロ排出シナリオの分析結果について、政策決定等への適切な活用方法を検討する。CDR技術について、開発動向や社会的課題などを検討する。

〔公式ページ〕
ネットゼロ排出達成時におけるCO2排出・除去の態様―IPCC SR15シナリオデータを中心とした検討―
※掲載テキストは発表情報の全文または一部抜粋です。元となるプレスリリースは発表元による発表当時のものであり、最新情報とは異なる場合があります。※詳細情報は公式ページをご参照ください。