蓄電池

荏原実業、住宅用蓄電市場に新規参入

2020/3/16 19:00

荏原実業、住宅用蓄電市場に新規参入

2020/3/16 19:00

 水処理・環境事業を手掛ける荏原実業(鈴木久司社長)は中国の太陽光パワコンメーカーSolaX Powerと協業し家庭用蓄電システムを開発。2月末より卒FIT市場やゼロエネ建築分野をターゲットに販売を開始した。



 同社は46年創業の環境エンジニアリング企業。上下水道向けの設計・施工、ポンプ・冷凍・空調機器等の販売を主業とする。年商285億円規模。太陽光関連市場には2011年より産業用をメインに参入し年間10億円規模で事業を推移させている。太陽光パネルは中国大手DMEGC製等を扱う。

 住宅用には昨年より自然災害時の停電対策としてポータブル蓄電池を展開。並行して18年より家庭用蓄電システムの開発に着手していた。製造元となるSolaX Powerは中国に本社を構えるインバータメーカー。年間4GWの生産能力をもち世界60カ国以上に関連製品を供給している。蓄電システムはSolaX Powerが中国等から電池セルを調達しモジュール及びシステム化し日本へ出荷。販売は荏原実業がメーカーポジションで流通させていく。

 上市する『EJ-POWER』シリーズはパワコンと蓄電池、ECHONET Lite規格等に対応した通信機能を一体化したハイブリッド型。定格出力3kW・蓄電容量5.8kWhと同5.9kW・同11.5/17.3kWhの3種類をラインナップしている。停電自立時共に単相3線100/200V対応の全負荷対応が可能。自動切り替え、逆潮流防止、MPPT回路搭載、発電・需要を予測するAI制御機能といった特徴がある。保証期間は10年。JET認証は取得予定。標準価格は「市場流通する蓄電池の3割程度減」を見込む。
 
 事業を担当する省エネ機器事業本部ファシリティ営業部の野田公一氏は「再エネ普及や持続可能な社会を構築するには高い性能とコスパに優れた製品流通が必要不可欠。3年を目処に1万台規模の販売を目指していきたい」との目標を掲げ「千葉県にある工場ではZEH・ZEB実証も行っている。ニーズに合った商品開発を進めていく」と話していた。産業用の蓄電システムの販売も計画しているという。加速する蓄電市場。新規参入した老舗エンジニアリング企業の動静に注目が集まる。