発表日:2022年2月14日
発表者:愛知県
表 題:「知の拠点あいち重点研究プロジェクトIII期」 太陽光発電・直流技術を用いたEV(電気自動車)への給電技術を開発! ~ゼロカーボン社会におけるEVの普及を手助けします~
愛知県と公益財団法人科学技術交流財団では、産学行政連携の研究開発プロジェクト「知の拠点あいち重点研究プロジェクトIII期※1」を2019年度から実施しています。
この度、「先進的AI・IoT・ビッグデータ活用技術開発プロジェクト※2」の「直流スマートファクトリー実現に向けた変換装置の開発※3」において、愛知工業大学の雪田 和人(ゆきた かずと)教授、河村電器産業株式会社(瀬戸市)らの研究グループが、再生可能エネルギーによる分散型の電力網の普及及び社会実装を後押しするために、直流電力グリッド(電力網)の実証試験を実施するとともに、再生可能エネルギーを利用する直流EV充電装置を試作しました。
1 開発の背景
国内外でゼロカーボン社会を目指し、再生可能エネルギーの活用や水素を利用した発電・蓄電技術の開発が盛んに実施されており、これらの発電のほとんどは直流電力で出力されます。一方、EVやPHEV(プラグインハイブリッド車)はもとより、デジタル家電やIoT機器の多くは、既存の電力網から交流電力※4を得て、内部で直流電力※4に変換して使用しています。変換ロスなどを考慮した省エネの観点から、直流電力を利用する電力網も注目されつつありますが、未だ普及の途上にあります。NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)によれば、2050年の電力供給は、交流系統と直流系統のハイブリッド式の給配電方式となると報告※5されています。
2 開発の概要
本研究グループでは、EVやPHEVが急速に普及すると考えられる近い将来に向け、再生可能エネルギーを利用する直流EV給電装置及び高効率なAC/DC(交流/直流)変換装置を開発しました。また、それらを中心とした直流電力グリッドの実証試験を実施しました。
(1) 次世代半導体を用いたDC/DC(直流/直流)変換装置の開発
次世代半導体であるSiC(シリコンカーバイド)を用い、電力変換効率が高い(98%)電力変換装置を開発し、EV給電装置に適用しました。これを複数台用いることにより給電容量の大容量化も可能です。
(2) 高効率AC/DC(交流/直流)変換装置の開発
既存の交流電力網からの直流変換についても、従来では2段階以上で行う高電圧の交流から低電圧の直流への変換を、本装置1段で実現しました。特に、次世代半導体SiCを用いた電力変換装置では、大きさを従来の4分の1に小型化し、電力変換効率は最高で98%を達成しました。
(3) 直流実証グリッド(電力網)の構築
上記の開発技術を実証するために、愛知工業大学内に直流実証グリッドを構築し、学内のEVの充電等に試験利用しています。再生可能エネルギーをもとに、EVや家電製品を始め、工場を想定した機器(スマートファクトリー)を直流で利用する実証を行っています(商用電源の交流を変換する実験も含む。)。
3 期待される成果と今後の展開
開発した2つの電力変換装置は、河村電器産業株式会社が今後の商品化に向けてさらなる開発を進めます。また直流実証グリッドは、将来的な社会実装に向けて引き続き試験を継続します。
〔公式ページ〕
▷愛知県:「知の拠点あいち重点研究プロジェクトIII期」 太陽光発電・直流技術を用いたEV(電気自動車)への給電技術を開発! ~ゼロカーボン社会におけるEVの普及を手助けします~
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