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【官公庁】経済産業省:「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」に記載された英国のシナリオに対する英国大使館からの指摘について

【官公庁】経済産業省:「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」に記載された英国のシナリオに対する英国大使館からの指摘について

発表日:2021年1月19日
発表者:経済産業省
表 題:「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」に記載された英国のシナリオに対する英国大使館からの指摘について

 経済産業省は、2020年12月25日の成長戦略会議において、「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」を報告し、その中で、「英国の意欲的なシナリオでも約65%」と記載しましたが、英国大使館から当該記述について指摘を受けましたので、事実関係をお知らせします。

経緯
(1)英国政府は2019年6月に、それまでの2050年80%削減の目標を見直し、2050年ネットゼロ目標を定め、法制化する際に、同年5月、英国気候変動委員会(行政府に属さない委員会)がネットゼロ報告書(「Net Zero The UK’s Contribution to stopping global warming」)を英国政府に提出しました。

(2)この報告書においては、温室効果ガス排出96%削減の「野心的な削減シナリオ(Further Ambition Scenario)」における再エネ比率は約65%となっており、この点を2020年11月11日のグリーンイノベーション戦略推進会議や11月17日の総合資源エネルギー調査会において、出典元を示し、「将来のエネルギーミックスを規定するものではなく、一定の前提をおいたシナリオ」として紹介しました。

(3)英国気候変動委員会のネットゼロ報告書の数字を、我が国も同様に2050年カーボンニュートラル目指す旨の宣言後に、この実現に向け、12月25日に経済産業大臣から成長戦略会議に提出したグリーン成長戦略において引用しました。

(4)その後、英国大使館から、以下指摘がありました。

 英国気候変動委員会が2020年12月に新たな報告書である「第6次炭素予算」を発表していることや、エネルギー政策を所管する英国ビジネス・エネルギー・産業戦略省(BEIS)が2050年までの脱炭素化に関する考え方をエネルギー白書(2020年12月14日発表)で示す中などで様々なシナリオ分析が行われていること
 英国気候変動委員会のネットゼロ報告書の再エネ65%という数値を含め、これらの分析はシナリオとしての一例であって、英国政府の政策や目標ではないこと
 英国は全ての電源についての目標を設定していないこと
 英国の政策を参照するのであれば、エネルギー政策を所管するBEISが出している政策を参照するのが適切であること

(5)このため、英国大使館からこうした指摘があったことや最新の報告書など※について、お示しします。

(6)なお、経済産業省として示した再エネ比率の5割から6割という数字は、総合資源エネルギー調査会における専門機関からの報告などを踏まえ、参考値として示したものです。あくまで今後議論を深めて行くにあたっての参考値であり、政府目標として定めたものでもありません。今後の検討の中では、この数値以外についても検討していくこととなります。

※各報告書など
・2019年5月2日に英国気候変動委員会が公表した報告書(Net Zero The UK’s Contribution to stopping global warming)では、96%削減の「野心的な削減シナリオ(Further Ambition Scenario)」における電源構成のイメージとして再エネ比率は約65%。
・2020年12月9日に英国気候変動委員会が公表した報告書「第6次炭素予算」(The Sixth Carbon Budget)では、上記「野心的な削減シナリオ(Further Ambition Scenario)」をアップデートする形で、100%削減の「バランスの取れたネットゼロシナリオ(Balanced Net Zero Pathway)」における電源構成のイメージとして再エネ比率は約80%。
・2020年12月14日に英国ビジネス・エネルギー・産業戦略省(BEIS)が公表した報告書(Energy White Paper)では、ネットゼロ(100%削減)を達成する上での電力分野の戦略的な位置づけを示しつつ、2050年の電力分野の将来像を例示。付属文書である「2050年モデル」(Modeling 2050)では、ネットゼロと整合的な電力分野がどのようになり得るかを示し、低排出で低コストのシステムの特徴を提示。
・2020年12月23日に英国ビジネス・エネルギー・産業戦略省(BEIS)が公表した「2050年モデル」(Modelling 2050)の付属文書Oの報告書(Net Zero and the power sector scenarios of the 2019 Energy and Emissions Projections )では、2つの参照的なシナリオとして、低需要ケースでは、再エネの発電量は4050億kWhであり、発電量の約65%に相当し、また、高需要ケースでは、再エネの発電量は4300億kWhであり、発電量の約60%に相当し、いずれのケースにおいても、脱炭素電源は約99%。
(注) いずれも、蓋然性のある予測やあるべき将来像として示したシナリオではない。 いずれの数字も、英国の政策目標や政策ではない。

〔公式ページ〕
「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」に記載された英国のシナリオに対する英国大使館からの指摘について
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