国土交通省は６月２６日、令和２年版『国土交通白書』を公表した。同省発足２０年目の節目となる最新版では「社会と暮らしのデザイン改革」をテーマに、これまでの環境変化と取組を振り返った。将来予測や国民意識調査結果を踏まえ行政が向き合うべき課題と方向性を示した。関連調査の整理・分析では「激甚・頻発化する災害への対策」「地域の移動手段の確保」などを課題として指摘。今後の取組方針として「防災・減災が主流となる社会」「将来も地域の移動ニーズに応えられる持続可能な交通サービスを確保する」といった展望を記載した。

〔既往の調査や国民意識調査を整理・分析〕
・土砂災害の発生回数：1990～2009年の約1,000件／年から、2010年以降は約1,500件／年と1.5倍に増加、2018年は過去最多の3,459件
・2076～2095年において、1980～1999年と比べ、年平均気温最大4.5℃上昇、１日降水量200mm以上の年間日数２倍以上
・南海トラフ地震や首都直下地震が30年以内に70%程度の確率で発生
・地方圏の約９割のバス事業者が赤字など、地方公共交通の衰退が懸念
・2050年には、人口１万人未満の市区町村で人口が半減（2015年との比較）

〔これらの課題に対する取組の方向性〕
・災害対策については、国民目線でわかりやすい、抜本的・総合的な対策や、分野横断的に、平時から非常時、復旧・復興時まで、行政・企業・住民が連携し対応することで「防災・減災が主流となる社会」の実現を目指す
・地域の移動手段については、上下分離方式、他の事業者との合併・共同経営、自家用有償旅客運送への転換や、まちづくりと一体となった効率的な交通ネットワーク形成により、将来も地域の移動ニーズに応えられる持続可能な交通サービスを確保する

〔参照〕
▷令和２年版国土交通白書　国土交通省20年目の挑戦

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