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TOKAI:系統インフラに頼らない、雨水活用の完全オフグリッドハウス

TOKAI:系統インフラに頼らない、雨水活用の完全オフグリッドハウス

  静岡県静岡市に本社を置くTOKAI( 小栗勝男社長)は、ガス、宅配水、総合リフォームなど様々な生活関連サービスを提供する企業。さらにTOKAIホールディングス(鴇田勝彦社長)を持株会社とし、インターネット、ケーブルテレビなど、生活インフラ全般を全国約300万件の顧客に提供している。同社は、暮らしを総合的にかつきめ細かにサポートする“TLC(トータルライフコンシェルジュ)構想”の具現化を目指して事業推進を行い、「水」と「電気」のライフライン事業にもアプローチ。家一軒だけで“系統のインフラに頼らず平常、災害時も生活が成立する家”をコンセプトにした『OTS HOUSE』を19年7月より販売開始した。最大の特徴は特殊な浄水装置で雨水を浄化し、生活用水としての利用に加え、キッチン・トイレ以外の水を再利用することで年間を通して水を自給自足できることにある。今回は最も設備が充実し、大出力・大容量の太陽光発電・蓄電システムも搭載する『OTS HOUSE “Advance(アドバンス)” 』について紹介する。

 雨水を活用した完全オフグリッドハウス『OTS HOUSE』は2011年1月より鴇田社長のトップダウンで始まった「完全自給自足可能な住環境」実現のためのプロジェクトが形になったもの。17年10月に検証を目的としたモデルハウスを建設し、実際の生活を再現したシミュレーションを重ねるなど様々な検証を経て、19年7月より静岡県限定で規格住宅として販売した。同規格住宅は、4人家族で敷地面積30坪を想定している。設備面では図のように①大容量の雨水タンク、②雨水を浄化するRO浄水装置と滅菌装置、③浄水した雨水を保管する生活水槽、④使用後の水を一次浄化する合併浄化槽で構成され、各設備は太陽光発電・蓄電システムで稼働している。雨水を効率よく降った分だけ潤沢に集積する大きさが必要なことから、17,000ℓの雨水タンクを導入している。年間降雨量を基にしたシミュレーションを行ったところ「12月~2月にかけては降雨量が少なく、3ヶ月を乗り切るのに必要な水量を算出した結果この大きさとなった」(大井雄介スマート戦略部長)という。雨水などを浄化するRO浄水装置は逆浸透膜というフィルターを用いて浄化しており、太陽光で発電できる日中に行う。浄化した水は1,000ℓの生活水槽にストックし、お風呂・シャワーなど、水の使用量が増加する局面にも対応する。キッチン・トイレ以外の排水は合併浄化槽に流れ、バクテリアで一次浄化をして雨水タンクへ還元する仕組みをもつ。これにより生活排水は約60%が再利用可能となる。天候や土地環境によって若干左右するが「1ヶ月降雨が無くても自立が間に合うスペックにしている」と自信を覗かせた。

 エネルギー面においても電力インフラに頼らず生活できる装備を持つ。搭載する太陽光発電システムの最大出力は9.36kWでモデルハウスでは三菱電機製を使用、商品版の規格住宅ではメーカーを問わず提案する。蓄電池は48kWhの大容量で、香川県高松市のベンチャー企業のバリオスター製を採用している。また、生成・消費した水と電力を「見える化」しており、PC・スマホなどから確認できる。住宅設計にも特色を持たせており、一方向のみに流れる片流れの屋根形状が特徴的だ。パネルを多く積む、雨水を効率よく集める、ひさしを大きく作って直射日光による室温上昇を防ぐ設計となっている。また、室内に吹き抜けを設けることで特に中間季の空調負荷の軽減にも繋げている。壁・天井には発泡硬質ウレタンフォーム『アクアフォームNEO』を採用し、外皮性能はUA値0.44W/㎡ Kをクリア。全熱交換型の換気システムと1・2階にエアコンを1台ずつ設置。冬場は1階の、夏場は2階のエアコン1台で家全体の温度調整が可能となる。

 この規格住宅のシステムを含んだ建物価格は4,340万円。「今後も技術動向をキャッチアップし、実際に住むお客様の家族構成や要望に合わせて設備を最適化するなど、さらに進化・発展させていきたい」とし、先駆けて「ある程度設備と価格を抑えたパッケージや、限定した設備だけを別売りするプランも用意した。まずは先行事例として防災目的やオフグリッドにしたいという一定数のニーズを対象に提案していく」と語った。

※本記事は次代住宅専門誌 『月刊スマートハウス』 No.64に掲載したものより抜粋しています。