インタビュー

エネファント:多治見市でEV活用の働き方改革実践 地域活性・防災力強化も

2019/11/13 13:00

エネファント:多治見市でEV活用の働き方改革実践 地域活性・防災力強化も

2019/11/13 13:00

 太陽光発電システムをはじめとしたオール電化機器の提案や『たじみ電力』として電力事業も手掛けるエネファント(磯﨑顕三社長)は、パナソニックと連携し、岐阜県多治見市や同地の地元企業との協力のもと、電気自動車(EV)を活用した働き方改革を進めている。その名も『働こCAR』。防災力強化や地域活性化にも繋がる官民連携モデルの好例としてプロジェクトが加速する。

車必須な多治見市 、EV低額支給で定職支援

 『働こCAR』は、協力企業にEVを低額でレンタル、その企業側が新卒や若手社員に貸し出すことで、働き手をサポートするというもの。多治見市では、地元に拠点産業がなく、通勤者が地域外に流失している状況であり、存続できなくなる恐れがある自治体として“消滅可能性都市”の一つに挙げられている。磯㟢社長は「働きながら生活をする為には、一人に一台の車が必要。しかし給料に対して車の維持管理費が高く、就職先がアクセスの良い都市圏へと移っている。そこでこの部分をカバーすることで、問題を解決できるかと仮説を立て、低額でEVをレンタルできるスキームを構築した。2年前から構想を立ち上げ、ようやくカタチになった。地域が抱える課題解決を図り、消滅可能性都市からの脱却を目指す」と経緯を語る。一例として、大卒の同市職員での試算を見ると、給料の約4割がクルマに消費する状況となる。同プロジェクトでは、企業へ低額レンタルの条件として、勤務中に駐車しているEVは、常に充電することを求めている。これは電力事業を手掛ける同社が系統負荷軽減の実証も兼ねて行っている。「利用しているEVは、勤務中に充電されることになる。これらの電気代は企業負担とするため、EV利用者は燃料費を要しない。EV自体は通勤以外にも利用して頂いて構わないため、公私両面でクルマへの負担を軽減できる」と強みを説明する。働き手は自動車保険の加入と月額の利用料のみでクルマを所有できるわけだ。これらメリットから現在、地元企業約30社から賛同を得て、街ぐるみで展開を拡げている。協賛企業の求人募集覧には同プロジェクトのロゴマークを掲載し、求職者に向けて発信を行っている。

第三者保有で ソーラーカーポートも提案

 同社はさらにプロジェクトの利用を促進すべく、ソーラーカーポートの第三者保有モデルも開始。企業の駐車場に無料で太陽光発電を搭載したカーポートを設置することで、日々のEVへの充電等に要する電気代削減もサポートする。無論、太陽光発電から供給した電力を購入することにはなるのだが、通常価格よりも抑えた価格で提供する。プロジェクトの条件と相性の良いソーラーカーポートの導入を進めることで、より利用しやすい環境を整えることに加え、地域の防災力向上にも貢献していく。ソーラーカーポートは日栄インテック製を採用。「カーポート下は人が通る場所となる。また防災設備としても品質を担保すべく、信頼性のある製品を選んだ。コスト力も決め手の一つ」と語る。普及に向けたサービスも拡充され始めた『働こCAR』プロジェクト。「自治体・協力企業とともに展開を図り、一先ず100社との連携まで拡げたい」と目標を掲げた。

※本記事は次代住宅専門誌 『月刊スマートハウス』 No.58に掲載したものより抜粋しています。