ZEH・LCCM

竹村工務店:建築・営業の分業体制でZEH提案を加速

竹村工務店:建築・営業の分業体制でZEH提案を加速

 奈良県を中心に住宅事業を展開する竹村工務店(竹村健社長)は、関連会社となるタケソー不動産販売(竹村秀一社長)と建築・営業を分業し、それぞれの事業に専念することで、土地の確保から企画・提案、アフターフォローまで 施主のニーズに合わせて幅広く対応するだけでなく、ZEH商品のブラッシュアップや提案力強化にも繋げている。

各事業の専門性高めZEHに素早く対応

 1947年に創業した竹村工務店は、伝統的な日本建築に則った住宅づくりを提案していたが、平成に時代が移るとともに住宅FCに加人。洋風の現代的なデザインとローコスト提案で棟数を増やす路線へと変更した。東京や沖縄にも支店を開設するなど規模を拡大させたが、ローコスト住宅が台頭し始めたことで競争が激化。他方で省エネ義務化に向けた業界の動きも出始めたことから、地域密着へと原点回帰し、LIXILが加盟店制で展開するスーパーウォールエ法をもって高気密・高断熱住宅の展開をスタートさせた。タケソー不動産販売の竹村社長は「当時の住宅性能は、お世辞にも高いとは言えなかったが、原価・エ程管理のノウハウを得られた。また価格を抑えたことで購買層は若年層まで拡がった。土地の確保から必要となるケースが増えたことで、建築と営業を分ける現在の経営スタイルが生まれ、今に活きている」と振り返る。市場の潮流に応じて、柔軟に事業を展開してきた同社は現在、ZEHに注力しているが、これはアンテナを張っている営業マンたちが、次に求められる住まいとして企画したことがきっかけという。その際「既存商品から都度ZEHに対応させるのは効率が悪い」ため、直ぐに専用商品を用意。通風や採光などのパッシブ要素を取り入れつつ、C値平均0.5、UA値同0.45とするZEHを商品化した。それぞれの事業に専念することで、業界の流れをいち早くキャッチし、素早くカタチづくることができたわけだ。
 提案面では「モデルハウスを建てた後から加速した。やはり体感頂くことは大きい。高断熱の心地よさはもちろんだが、 35坪(70畳)の住宅でも14畳仕様のエアコン1台で賄えることなど、口頭の説明だけでは不安を拭えないことも実感することで払拭できる」と語る。続けて「高断熱仕様による空調負荷軽減から日頃の電気代だけでなく、必要最低限の設備で済むため更新時の費用も抑えることができ、ZEHであればこれを実現できることを伝える。高性能化により、建築費は300万円程度、ローンにして1万円程度上昇するが、それ以上に光熱費を削減できるというシミュレーションも提示することでご納得頂いている」とノウハウを説明する。
 18年度実績ではZEH率約30%と着実に実績を積み上げている同社だが「現在は、初期費用ゼロ円モデルを活用しており、お客様の反応も良く手応えを得ている。実際、太陽光発電の搭載率は以前4割程度であったものが7~8割の水準となっている。19年度はZEH率70%を目指す」と意気込む。さらに今後は「IoTの要素も模索していく。昔では想像できない住まいを提案していきたい」と新たな要素も積極的に取り人れる構えであり、住宅づくりに掛ける思いは熱い。

※本記事は次代住宅専門誌 『月刊スマートハウス』 No.60に掲載したものより抜粋しています。