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【太陽光編】創・蓄・省エネ関連マーケット2019:ZEH等で新築向け増も 既築プレイヤー不在で規模縮小

【太陽光編】創・蓄・省エネ関連マーケット2019:ZEH等で新築向け増も 既築プレイヤー不在で規模縮小

 住宅用太陽光発電システムの19年の導入件数は、前年比5%減の12万件となった。ZEHをはじめとする省エネ住宅の普及により、新築向けは伸びを見せ始めているものの、既築向けは依然として、販売プレイヤーの不在が続いており、市場全体は右肩下がりが続いている。大規模案件の受注残や脱FITを進める自家消費型など産業分野への傾注はまだ継続する見込みである。さらに住宅分野においても、卒FITユーザーの出現や防災ニーズの高まりから、OB客への蓄電池提案が活発化しており、新設の件数減に少なからず拍車が掛かっているとみられる。とは言え、住宅分野に注力してきた販売サイドは、蓄電池提案で多くの実績を挙げており、売上規模を伸ばしている。
 メーカー動向としては、ZEH関連機器を揃えるソリューションや蓄電池とのセット提案等で実績を伸ばしたパナソニックが2年連続首位を獲得。次いで、ハウスメーカー向けなど新築分野も強いシャープ、京セラがトップ3となった。続くカナディアン・ソーラー・ジャパン、ハンファQセルズもZEH向けなどビルダー提案が奏功しており、海外勢でありながら好成績を残している。同順位の長州産業は、強力な販売店へのルートを有しているだけでなく、19年より初期費用ゼロ円モデルで実績を挙げており、今後の動向が注目される。また大きなニュースとしては、三菱電機が3月下旬を目処に自社ブランドの太陽光発電システムの生産を終了することを発表。競争激化により長期信頼性、狭小屋根への設置性など同社の強みに対する市場評価が相対的に低下したことを撤退理由に挙げており、今後はパワコンのOEM供給やZEH、ZEB、V2Xなどの再エネを有効活用するソリューション提案に注力するとしている。太陽光発電については、京セラ製を販売ルートに流すことから、シェア変動は必至となりそうだ。
 20年は多くのメーカーがラインナップし始めた初期費用ゼロ円モデルや、連続する大規模災害を受け拡充を図っている建築物のレジリエンス性強化への支援策が市場にどう寄与していくか。右肩下がり市場からの脱却に期待が掛かる。

※本記事は次代住宅専門誌 『月刊スマートハウス』 No.60に掲載したものより抜粋しています。