インタビュー

エスイーエム・ダイキン:ZEHパッケージでルート開拓、蓄電池販売奏功 スマエネ事業売上高10%増34億円

エスイーエム・ダイキン:ZEHパッケージでルート開拓、蓄電池販売奏功 スマエネ事業売上高10%増34億円

 スマエネ機器の大手商社であるエスイーエム・ダイキン(蛭田耕一郎社長)は、住宅向け蓄電池販売が奏功し、住宅用・産業用合わせたスマエネ機器事業の19年度売上高は約10%増の34億円を見込んでいる。同社はZEH関連設備をパッケージングした『SEMD・ZEH』を今年度より積極的に展開し、ビルダー・工務店ルートを開拓。蛭田社長は「太陽光発電をはじめ、ルームエアコン、天井埋込形やデシカント空調などZEHや健康・快適住宅に関連する機器をシステムで紹介している。まずはオールインワンパッケージでラインナップする製品を見てもらう。要望に応じて機器単体でも対応しており、『SEMD・ZEH』を入り口に開拓が進んでいる」と順調な滑り出しであることを示し、続けて「防災や自家消費ニーズの高まりから、ラインナップ商品の中でも蓄電池の引き合いが多い」と語る。
  次年度からは小容量の蓄電池ニーズに応えるべく、住友電気工業の『POWER DEPO Ⅲ』を商材ラインナップに加え、保有する約1万件の卒FITユーザーを中心に提案を行う構え。「現在、中容量にシャープ製の6.5kWh、大容量に同8.4kWhを用意している。ここに住友電工製3kWhの小容量帯を拡充することで、ユーザーにあわせたケースバイケースの提案をしていく」と方向性を語る。新築分野については「引き続き、パッケージ戦略を進める。ただしZEH化するために必要な機器全てを提案するのではなく、機器ごとの付加価値を訴求し、快適性を重視した家づくりを支援していく」と述べる。

産業分野でも自家消費提案、PPAマッチングを開始

 住宅分野でZEHや蓄電池を絡めた自家消費提案を行っている同社。産業分野においては「売電価格の下落により発電事業に対するニーズは減少している。一方で、電気代コスト削減やSDGs参画に伴い環境負荷低減を図りたいとする声もある。そこで以前より産業向けのソリューションを『SEMD・OC』と名付け、自家消費モデルの提案を行ってきた。これら要望に幅広く対応すべく、単なる設備の提供だけでなく、PPA事業者とのマッチング事業もソリューションの一つとして提案していく」と戦略を明かす。
 既に蛭田社長自身が西日本・北陸エリアの得意先を訪問し「電力料金に掛かる再エネ賦課金を見える化し、PPAによって賦課金が抑えることができることなどメリットを説明している。設備に要する初期費用も殆ど要しないため関心度は高い」と手応えを語る。同社はあくまで設備・機器のディストリビューターであり、施工については同社が幹事会社を務める、スマエネ機器の販売・施工店会である新世紀PV会・ソーラーネット店や、住宅・産業用空調機器で同様のACE会の所属会員と「協創・協栄」をもって連携し実践していく。「現在、購入モデルの自家消費、PPA活用の事例合わせて7件を進めているところ。しっかり実績を付け、将来的には住宅分野にも同モデルを落とし込みたい」と標榜する。販売店会を率い、一丸となってZEHや自家消費モデルを推進する同社。住宅だけでなく、商業施設も含めた省エネやエネルギーレジリエンスを高める街づくりを目指す。

※本記事は次代住宅専門誌 『月刊スマートハウス』 No.62に掲載したものより抜粋しています。