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【高性能住宅編】創・蓄・省エネ関連マーケット2019:ZEH、LCCM伸長 過半数目標はまだ先か

2020/1/20 16:00

【高性能住宅編】創・蓄・省エネ関連マーケット2019:ZEH、LCCM伸長 過半数目標はまだ先か

2020/1/20 16:00

 ZEH・認定低炭素・長期優良・LCCMの高性能住宅4種の19年新築着工戸数は、前年比7%増の18万戸となった。長期優良は3,000戸増の10.9万戸、認定低炭素は500戸増の5,100戸とそれぞれ伸長、さらにZEHは16%増の約6.5万戸となったとみられる。ZEHの戸数については、目標値平均47%と最新の目標達成率65%から推計。またLCCMは、建築環境・省エネルギー機構(IBEC)の認定ベースで18年の27件から19年は65件に増加、うちアイ・ホーム(宮崎県、田村寛治社長)が20件、新和建設(愛知県、吉村浩人社長)が9件、ヤマト住建(兵庫県、中川泰社長)が6件など高性能住宅に注力するビルダーが目立った。またBELSを取得した戸建・マンション住戸のうち、高性能シリーズの割合は56%と半数を上回っており、業界としてますます力が入ってきた。
 制度開始から4年が経過したZEHビルダー/プランナー( 以下、ZEHビルダー)の累計登録数は19年11月末時点で7,398社。新築戸建市場約43万戸におけるZEHビルダーの供給力は約5割を占める。2020年には新築戸建の半数をZEHとする目標を掲げているが、現状は先述の通り6.5万件。極端に言えば、現在登録している全ZEHビルダーが100%を達成すれば目標に到達するが、言うまでもなく現実的な話ではない。目標達成に向けては、より一層の参画社数の増加が必要であるほか、そもそも『実績なし』とするビルダーが48.8%という課題も解消しなければならない。行政側では、実績数が少ないビルダーの支援を優遇する地域型住宅グリーン化事業や、ZEH補助金において『実績なし』ビルダーを対象とした新規取組枠を設けるなど施策を打っているが、現状に留まっている状況だ。
 ZEHの建築実績が伸びない要因は、“顧客の予算”を確保できないことや“ZEH仕様の設定(=商品化)”が定まらないことが挙げられる。とは言え、居住後の感想は「快適な住まいが実現できている」という回答が多く、提案時のハードルさえクリアできれば、満足度の高い住まいを提供することが可能と言える。建築コストを抑える太陽光発電の初期費用ゼロ円モデルや、ZEHに要する設備や提案ツールを同梱したZEHパッケージなど課題解消に繋がるサービスも用意されており、今後の動向が期待される。

※本記事は次代住宅専門誌 『月刊スマートハウス』 No.60に掲載したものより抜粋しています。