対談

【鼎談】3社連携で挑む 国交省LCCM住宅補助事業:2ヵ年で24戸、最大3000万円で承認

2019/9/20 18:00

【鼎談】3社連携で挑む 国交省LCCM住宅補助事業:2ヵ年で24戸、最大3000万円で承認

2019/9/20 18:00

 九州大手の西部ガス(道永幸典社長)が提案支援を行ったサステナブル建築物等先導事業(CO2先導型)のLCCM部門において、提案者3社が名乗りを挙げた。その一つに福岡のビルダー健康住宅(福岡市、畑中直社長)が提案する「エネ活プロジェクト」がある。補助額については、設計費及び建設工事費等における補助対象工事の掛かり増し費用の合計額の2分の1以内の額か、1戸当たり上限125万円、下限は50万円となっており、24戸(12戸x2ヵ年)が対象だ。
 今回、同先導事業を進めてきた、健康住宅の吉本高広常務取締役、そして、事業提案サポートを行った西部ガス営業本部ビジネスソリューション部の楢原英明氏、ADL沖田光平社長の3氏に、地域ビルダーとインフラ、サポート企業との事業連携経緯について語ってもらった。

ー3社連携で挑む、新たな補助事業

楢原 サステナブル建築物等先導事業(CO2先導型)住宅部門には一般部門とLCCM部門がある。今同、LCCM部門について、健康住宅さんに「一緒に動いてみませんか?」と打診されたところから始まった。ADLさんには、提案書を書いて頂き、採択を受けられる形になった。今年度の取組みとしては、当社が健康住宅さんのような住宅会社3社に提案支援する形。既に3社とも採択は決定済み。健康住宅さんの場合、2ヵ年事業で補助金は各年度1,500万円ずつ、計3,000万円が交付されることとなっている。

吉本 ADLさんとは、当社のリノベーション事業で協力があり、その流れで去年の8月くらいには既にこのイメージは描いていた。「当社でも、LCCM認定は取れる!」ということをADLさんに教えてもらって、太陽光発電システムやエネファームといった創エネ機器をふんだんに採用して、省エネも頑張って、家を作ろうと考え始めたのが同時期。「来年(19年度)にはLCCM住宅で、補助金採択されるような取り組みを僕らもやりたいよね」と言いはじめていた。当然、この事業に取り組むならばADLさん、西部ガスさんと、という形になる。

沖田 この補助事業は、各年度末にまとめてプロジェクト毎に、エネルギー値の実績を集計する必要がある。そのデータというのは、電気料金や光熱費、HEMSから出るエネルギー計測データとなる。

ーエネファームを主軸にLCCM住宅提案

楢原 このエネルギー計測において、西部ガスとしては「エネファームが優位に働く」ことの証明になる自信があったので、提案させて頂いた。先進的な住宅作りで、ようやくお役立ちできる時代に入ったと思っている。

吉本 既に3件は建築が決定しており、まだまだ増える見込みだ。事業管轄エリアの問題もあり、全棟でエネファームを搭載することはなかなか難しいが、敷地面積の問題上どうしても太陽光発電システムで8kWも乗らない住宅建物がある。エネファームを入れることで、1kW程度ではあるが、太陽光発電システムの設置量削減効果から、デザイン面での親和性も図れることがある。エネファームは自家消費中心で活用されていくので、太陽光発電の売電量も増える。合わせ技での活用には期待している。

楢原 西部ガスとしては、エネルギーとエネファームの親和性の高さから、事業提案に入っている。他の2社にもエネファームを推奨している。提案申請をする際に「こういう家を、こういう仕様で建てます」といった仕様書みたいなものを提出している。その中にスペックも盛り込んでいく。外皮計算やエネルギー計算、LCC02の計算まで行い、トータルでCO2収支をマイナス2%に適合させ、採択に繋がった。このモデルプランを作られたのがADLさんです。

沖田 当社は健康住宅さんから頂いた建築データをベースに、ZEHであること等、それら条件を満たしているかなどを測定、診断し提出できるようにサポートしている。常日頃から、先進的な取組みをされている工務店さんに対し、我々のほうから提案し、実際に取り組むにあたり提案申請書のなかにモデルプランというものを作成しないといけない。

楢原 ADLさんにこのようなサポートをして頂きながら、どのようなモデルプランでやるか?という意見交換を健康住宅さん含む各社さんとさせて原いていた。その中で、我々でいうとエネファーム導入をお願いしており、3社とも積極的にご活用頂ける形となった。

一「仲間と家づくりをしたい」

吉本 家づくりはとても面白い。そして、まだまだ見た目だけでなく機能面においても向上していくと考えている。「幸せの原点」が家にあるのであれば、それは、お客様が求めるモノであり、そのお客様に対して提案できる引き出しを僕らがどれだけ増やせるかというところに尽きる。多種多様な考え方を持つお客様や事柄に対応できるようにするためには、様々な知識を以って補助事業として活かしていかなければならない。家づくりに「知らなくてよいこと」なんてない。だからこそ新築に限らず、リノベやリフォームであったとしても、我々の仕事が、お客様の満足に繋がることに徹したい。我々3社のような取り組みが、ほかのビルダーさんも刺激されて、よりよい家を作りたい、マネしたいという循環になれば嬉しい。

※本記事は次代住宅専門誌 『月刊スマートハウス』 No.56に掲載したものより抜粋しています。