ZEH・LCCM

経済産業省、ZEH調査報告会2019 開催

経済産業省、ZEH調査報告会2019 開催

 経済産業省と環境共創イニシアチブ(SII)は11月29日、ベルサール汐留(東京都)にて例年注目を集める『ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス支援事業調査発表会2019』を開催。会場には最新情報を入手しようと業界関係者約400名が会場に参集した。遅々とする市場の動向は如何に。

ZEH市場シェア2割台、課題は引き続き「顧客の予算」

 制度開始から4年が経過したZEHビルダー/プランナーの累計登録数は前年より259社増の7454社(10月末時点)だった。全国の需要に応じ均一に分布しているが当初に比べ登録数の推移は緩やかである。新設住宅約43万戸における供給カバー率は約5割を占め、注文分野においては7割超である一方、建売分野は1割台と事業者不在の傾向が浮き彫りとなった。

 最新集計によるH30年度のZEH総供給戸数はシリーズ合計で約5.6万戸だった。前年より2割増加となるも供給シェアはまだ1割台。注文分野で漸く2割に近づこうとしているところだが依然として「過半数」「平均」という概念には程遠い実態が明らかとなっている。建売に関しては約1%と例年変化が見られない状況である。自社目標を達成した事業者も17%に留まっている。全国に拠点をもつ大手ハウスメーカーと一部の地域有力ビルダーが牽引役となっている訳だが、補助事業の「新規取り組み」枠でも228社しか参画していない現状は看過できないだろう。

 課題は何か。事業者アンケート結果によると未達成理由は昨年度に引き続き「顧客の予算」が最多だった。一方、達成要因に関しては「ZEH仕様の設定」「ZEHのメリット訴求」であることから二極化が進む問題の本質は表裏一体であると言えそうだ。居住者アンケートでも「ZEHを知ったきっかけ」=「ハウスメーカーや工務店の担当者から」が9割と認知度がまだまだ低く壁は高い。とはいえ「マイホームにした理由」は「光熱費の削減」「快適な住まいの実現」が上位要因として挙がり、そのために「建設費がコスト高になることを妥協した」という意見もみられた。居住後の感想においては「快適な住まいが実現できている」がトップで高い満足度が読み取れることから、理解が得られれば選ばれる住宅仕様であることは確かであろう。

 詳細分析が発表される前段では経済産業省、環境省から脱炭素化を図るべくZEH普及の重要性が強調された。次年度も引き続き補助予算を組み込んでいること、国土交通省を加えた3省連携による支援を加速させていく旨を説明していた。課題解決を図るために設置されたZEHロードマップフォローアップ委員会でも「定義・要件の緩和」「健康・快適・レジリエンス性といった便益の訴求」「自家消費モデルに向けた環境整備」などを盛り込んだ議論が進められているが果たして。起爆剤となるアイデアが求められている。
※数値はSII公開データより ※詳細は月刊スマートハウスNo.59にて詳報します

〔参考URL〕
環境共創イニシアチブ(SII):ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス支援事業 調査発表会2019
「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス支援事業 調査発表会 2019(同時開催:ZEHビルダー/プランナー連絡会2019)」資料