日常生活において“とても些細だが煩わしいこと”は無数に存在する。浴室においてはどうだろう。「床に残った水滴を踏み、靴下が濡れてしまった」など、水はけの悪さを感じたことはないだろうか。この床の乾燥のしにくさ、実は、床材に防水性能が高いガラス繊維強化プラスチック(FRP)を採用していることが原因とされている。弾かれた水滴が床の表面で水溜りとなり、さらに浴室が高気密であるが故にその水溜りの蒸発に時間がかかってしまうのだ。
こうした“些細なストレス”と言える問題にも、正面から挑んだのがシステムバスの生みの親、TOTOであった。
水滴が残る最たる原因は、言わずもがな水溜りができてしまうこと。そこで同社は“水溜りを作らない”ことに焦点を合わせ、研究をスタートさせた。それまで排水に関する業界認識は“早く水が流れる”仕様とすることであったが、研究を重ねる中でより効果的なのは、従来品とはまるで逆の“水をゆっくり途切れさせずに流す”ことにあるとの知見を得た。
これを基に同社は床材表面の溝成形に注力。排水口までの水路と水の表面張力を壊す役割を担う複雑な凹凸を施すことで徹底的に排水する技術を確立し、2001年に『カラリ床』を発売した。
誰しもが一度は経験しているだろう小さなストレスを解決した同製品。競合他社も同様の商品を発売し始め、現在、乾きやすい床は業界のスタンダードとなっている。乾燥だけに留まらず、同社は12年に断熱性能を高めた『ほっカラリ床』を市場投入。16年には汚れを浮かび上がらせる『お掃除らくらくほっカラリ床』などを開発してきた。今日もどこかで水溜りによる横転やぬめり、カビの発生を抑え、床から人々の健康を支えていることだろう。
※本記事は次代住宅専門誌 『月刊スマートハウス』 No.70に掲載したものより抜粋しています。
2021/12/7 17:00
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