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大阪ガス&積水ハウス:未来にクリアな空気を残せる住宅

2020/10/22 15:00

大阪ガス&積水ハウス:未来にクリアな空気を残せる住宅

2020/10/22 15:00

 ZEHビルダーにとって今年は、新築戸建ての半数以上をZEHが占めなくてはならない勝負どころ。一方更に高みを目指す事業者は、政府の省エネ化政策の最高ランク「LCCM(ライフサイクルカーボンマイナス)住宅」に取り組み始めている。

 LCCM住宅は建設時から居住、廃棄までのトータルでCO2収支をマイナスにするよう設計された住宅のこと。この住宅の第1号は大阪ガスと積水ハウスが共同で奈良県北葛城郡に建設した住居実験棟となる。同実験棟『スマートエネルギーハウス』は2011年に燃料電池、太陽光発電、蓄電池としてEVの3電池を用いた省エネと快適で便利なくらしが両立できる住宅の実現を目指し建設された。省エネ面では生産、施工段階に発生するCO2を抑えるため、環境を考慮した部材を使用し、工場廃棄物の一部を瓦桟や下地材などのリサイクル材として再利用した。また居住空間としてはLED照明やテレビ、冷蔵庫などの省エネ機器や、節水タイプの浴槽、水栓を採用していた。実験棟には大阪ガスの社員が3年間居住し、▲103%のCO2削減と▲82%の節電、光熱費と車両燃料費合わせて31万円の削減を達成した。「Q値1.52W/㎡・Kと断熱性もよく、エアコンを消しても涼しさが持続した。暖房時も同様。夏・冬以外の季節でも風通しはよく、年中快適で住み心地が良いと感じた」とコメントしている。



 このような工夫から、認定制度創設後の12年1月25日、第1号に認定された。これを皮切りに各社からLCCM住宅が建設され、現時点で169件建築されている。人生100年時代、残された世代がいかに快適に暮らせるかを考えて設計することも我々の使命なのかも知れない。

※本記事は次代住宅専門誌 『月刊スマートハウス』 No.68に掲載したものより抜粋しています。