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AGC:夏の暑さは ガラスでシャットアウト!

2020/8/26 10:00

AGC:夏の暑さは ガラスでシャットアウト!

2020/8/26 10:00

 高断熱窓に欠かせないLow-Eガラス。2枚以上のガラスにLow-E金属膜を貼り付けることで断熱、遮熱効果をもたせる。板硝子協会によると1枚板ガラスと比べ、遮熱型は室外から差し込む暑さを2分の1、紫外線量を4分の1にカットし、断熱型は室外に逃げる熱を3分の1へ削減できるとする。

 Low-Eガラスが日本の市場に投入されたのは1985年のこと。当時、日本の住宅では1枚ガラスが常識だった。省エネルギー基準において住宅の断熱基準が示されたものの、複層ガラスの普及率は低いまま。そのような時代背景の中、旭硝子(現:AGC、島村琢哉社長)は既にLow-E複層ガラスが普及していた欧米から輸入し、販売を開始した。しかしこのガラスは欧米仕様。冬の寒さ対策として使用されていたため、日本の暑い夏でも過ごせるようにすべく、1年中快適に生活できるガラスを開発していた。そして市場投入から3年を経た88年、同社は室外側のガラスに金属膜を使うことで遮熱性能も持ち合わせたLow-Eガラスの開発を成功させた。



 この構造を基に商品化が検討されたが、高温多湿の日本で安定した品質を生産するには金属膜を重ねて耐久性を高める必要があった。しかし多層膜になるとガラスの透過性を失ってしまうため通常よりも膜を薄くしなければならない。試作やシミュレーションを重ね、ようやく92年に国産初のLow-Eガラス『サンバランス』の発売に至った。

 高断熱住宅には不可欠なこのガラスは、今やサッシメーカーに標準採用され、新築戸建住宅の80%に搭載されている。太陽の日が燦々と降り注ぐような大開口の高断熱住宅を実現すべく、今日も屋外の熱を遮断し続けている。

※本記事は次代住宅専門誌 『月刊スマートハウス』 No.67に掲載したものより抜粋しています。