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【News Release】全国自治会:「令和3年度国の施策並びに予算に関する提案・要望(エネルギー関係)」の要請

2020/7/20 18:00

【News Release】全国自治会:「令和3年度国の施策並びに予算に関する提案・要望(エネルギー関係)」の要請

2020/7/20 18:00

発表日:2020年7月20日
発表者:全国知事会
表 題:「令和3年度国の施策並びに予算に関する提案・要望(エネルギー関係)」の要請について

7月20日(月曜日)、エネルギー政策特別委員会は、去る6月4日に開催された全国知事会議において決定した「令和3年度国の施策並びに予算に関する提案・要望(エネルギー関係)」について、資源エネルギー庁に対し要請を行いました。

 要請活動の資料は、以下のとおりです。

【エネルギー関係】
1 資源エネルギー対策の推進について
(1)エネルギー政策の総合的、計画的推進及び国民的合意の形成
エネルギーが、国民生活や経済活動に欠くことのできない重要な基盤であるとともに、その利用が地域及び地球の環境に大きな影響を及ぼすことに鑑み、エネルギー政策については、安全・安心の確保を前提とし、総合的なエネルギー安全保障の強化や再生可能エネルギーの大幅な増加など脱炭素化に向けた世界の動向を踏まえ、早期に長期エネルギー需給見通しを見直し、今後の具体策を明らかにした上で、国内外における対策を総合的、計画的に推進すること。また、エネルギー政策の推進に当たっては、あらゆる技術や資金等を有効に活用しながら、地球温暖化対策の推進等に留意し、地方の意見を十分に反映させ、国民の理解と合意を得られるよう最大限の努力を払うこと。

(2)エネルギーシステム改革の着実な実行
電力及びガス市場の自由化に向けたシステム改革については、電力及びガスの低廉かつ安全で安定的な供給を大前提として、へき地や離島を含めたユーザーの利益に最大限配慮しながら着実に実行すること。 また、消費者の利益に最大限配慮した上で、新電力事業者の公平な市場参加を図るため、ベースロード電源の市場への供出について適切な運用を図ること。さらに、地球温暖化対策推進法に基づく温室効果ガス排出量算定等に用いるため、電力の完全自由化に伴い把握できなくなった小売電気事業者ごとの都道府県別電力需要実績等の情報について、国の主導により各都道府県へ開示する仕組みを作ること。当該実績を開示できない場合は、小売電気事業者ごとの当該実績を踏まえた各都道府県域の電力排出係数を開示すること。

(3)電源立地対策の推進
電源地域の恒久的、広域的、自立的な振興や安全確保を図るため、各省庁が一体となって生活環境や産業基盤の整備、安全対策等を推進すること。 また、電源三法等による交付金制度や特例措置については、関係地方公共団体の自主的、弾力的な活用が可能となるよう制度の改善・拡充を図ること。 特に、原子力発電所の廃炉が行われる関係地方公共団体が新たな産業や雇用を創出できるよう、廃炉プロセス完了までの財源の確保、また長期停止等に伴う経済停滞に対する財源を確保すること。さらに、令和3年3月に失効する「原子力発電施設等立地地域の振興に関する特別措置法」を期限延長するとともに、財政支援制度を拡充すること。加えて、令和2年度末をもって多くの発電施設が交付期限を迎える水力発電施設周辺地域交付金について、水力発電施設周辺自治体の持続的な発展と振興のために、交付期間の恒久化を図るとともに、交付単価及び最低保証額の引き上げ等の交付水準の改善を図ること。

(4)再生可能エネルギーの導入拡大
太陽光や風力、水力、バイオマス等の再生可能エネルギーは地球温暖化対策に加え、エネルギー自給率向上や災害に強い「自立分散型電源」確保の観点からも重要であることから、国民、事業者、地方公共団体等と緊密に連携しながら、意欲的な導入目標を設定するとともに、「固定価格買取制度」及び本制度から移行する市場連動型新制度の適切な運用・制度設計、情報開示の徹底、規制緩和、各地域の創意工夫を活かした再生可能エネルギー発電設備の優先接続、事業者及び使用者双方の負担軽減を図るための税財政上の措置の拡充、事業者による適正な管理の一層の推進、発電コストの低下や安定供給のための技術開発の積極的な推進、固定価格買取期間満了後の事業継続・再投資の促進等の措置を講じ、引き続き導入拡大を最大限加速させること。 特に、多くの地域で系統接続量が限界に達し、新たな再生可能エネルギー発電所設置の障害となっている現状を重く受け止め、速やかな系統連系対策や出力変動対策の強化による接続可能量の更なる拡大、発電量の正確な把握のための基盤整備や系統運用方法の見直し等を推進すること。 また、固定価格買取制度対象外の再生可能エネルギーについても、導入拡大に向けた支援措置を拡充すること。 さらに、各都道府県が区域ごとの再生可能エネルギー発電出力や再生可能エネルギー電力需要量を定期に把握し、再生可能エネルギーの普及拡大の取組を計画的に進めることができるよう、国において、各都道府県が電気事業者等の保有する情報の提供を受けて活用することのできる仕組みを構築すること。

(5)再生可能エネルギーの地域との共生
発電設備の設置に当たって、防災・環境上の懸念等をめぐり地域住民との関係が悪化するなどの問題が全国的に生じていることから、事業計画の認定に際し、一定規模以上の発電設備を設置する事業者に対して、地域住民への事前説明とその結果の国への報告を義務付けるなどの法整備を図るとともに、地元自治体の意見を反映させるなどの仕組みを早期に構築すること。 また、地域住民の理解を得ないまま設置を進めることのないよう、国が責任を持って事業者を指導すること。さらに、関係法令等に係る必要な手続きの完了を適時適切に確認すること。 また、「固定価格買取制度」終了後、事業者の経営破綻時などにおいて、太陽光パネルや風力発電設備等が放置されるおそれがあることから、管理及び撤去、処分が適切かつ確実に行われるよう、廃棄費用積立制度など実効性のある仕組みを早期に構築し、実施すること。 さらに、再生可能エネルギーを活用した発電設備が安全かつ長期安定的に稼働されるよう、風水害等に備えた設置者による対策の徹底や、小出力発電設備に関する電気事業法上の規制強化等を図ること。

(6)再生可能エネルギー等の地産地消の確立
新たなエネルギー政策の具体的な推進に当たっては、真の地域からの成長戦略の展開に向けて、全国各地域への波及効果の高い仕組みづくりに取り組むこととし、地域に広く賦存する再生可能エネルギーについて、地域社会との共生が図られ、地域に根ざしたエネルギー資源となる「再生可能エネルギー等の地産地消」の確立を目指し、地域の事業者等が安心して再生可能エネルギー等の事業に投資することができるようにするとともに、地域新電力がその規模に応じたFIT電気を調達することができる環境を整えるため、地域の意見を踏まえた規制緩和や必要な
法整備、ガイドラインの策定、より細分化した価格・調達区分の設定を行うなどの支援策を講じること。 また、地域における長期・安定的なエネルギーとして活用していくため、蓄電池等を組み合わせた自家消費の推進や地域資源であるバイオマス燃料の安定確保のための環境整備を図ること。

(7)水素エネルギー普及・導入拡大の加速化
「エネルギー基本計画」において、将来の二次エネルギーの中心的役割を担うことが期待されると位置付けられた水素エネルギーの全国的な普及・導入拡大を加速させるため、水素の製造から貯蔵・輸送、利用にいたるサプライチェーンを見据え、「水素基本戦略」に基づく技術開発・実証研究や規制改革、燃料電池自動車や燃料電池バスをはじめとする水素アプリケーションの普及促進、インフラの整備等を着実に進めること。特に、モビリティにおける水素利用の中核となる水素ステーションの普及を全国的に促進するため、その整備・運営等に対する支援を強化すること。とりわけ、補助金交付までの多額の立替払いが負担となる中小企業への概算払い等の支援を講じること。加えて、技術開発の動向などを踏まえ、安全確保を前提とした公道等との隔離距離の短縮や事業者負担の軽減など必要な規制見直しを検討すること。また、燃料電池バスの導入促進に向けた支援を継続・強化するとともに、導入後の負担増に対する支援にも取り組むこと。 さらに、再生可能エネルギー由来のCO2フリー水素や地産地消エネルギーである副生水素の利活用などについて、広域的かつ戦略的な取組を推進する自治体と十分連携するとともに、先駆的な取組を推進する自治体を支援するための財源措置を講じること。

(8)海洋エネルギー開発の推進
新たなエネルギー資源として注目されるメタンハイドレートに関しては、日本海沖や太平洋沖での調査や採取技術の開発を推進するなど、日本周辺海域における海洋エネルギー資源の実用化に向け、調査研究成果の評価や有望技術の特定を踏まえた生産システムの検証などの取組を一層加速化させること。併せて、資源開発が行われる地元に経済的メリットが還元される仕組みづくりを検討するとともに、地元の技術・人材の活用を促進すること。 また、海洋再生可能エネルギーの利用促進に向け、海洋再生可能エネルギー実証フィールドの整備等への財源措置を講じるとともに、「海洋再生可能エネルギー発電設備の整備に係る海域の利用の促進に関する法律」に基づく促進区域の指定に当たっては、地方公共団体が既に設定している洋上風力発電に適した候補海域や、環境への影響、世界遺産等の価値に関わる景観上の影響等に十分配慮すること。また、その後の環境影響評価法における配慮書段階の手続きに当たっては、促進区域の指定において受けた意見との整合を図ること。 さらに、公募占用指針に定める供給価格上限額の設定に当たっては、漁業協調や地域振興の実現など、洋上風力発電と地域との共生が十分に図られる水準となるよう考慮するとともに、特に漁業協調の観点では、促進区域内における漁業操業や魚礁設置等について極力制限を行わないこと。 加えて本法に基づく海洋再生可能エネルギー発電設備について、管理及び撤去、処分が適切かつ確実に行われる仕組みを作るとともに、市町村の境界がない海域において、発電設備に係る固定資産税の課税が円滑に行われるよう、課題を整理し、国として、適切な助言等による支援を行うこと。

(9)エネルギーに係る多様なインフラ整備
災害リスクに備えた強靱な国土形成を進めるため、以下の取組をはじめとしたエネルギーに係る多様なインフラ整備や広域的な燃料供給体制構築に向けた取組について、法制度の整備を含め、国として主導的な役割を果たし、積極的に実施すること。
・地域間連携線等の広域的な電力系統の強化
・天然ガスの広域的なパイプライン網整備、タンクローリー輸送に対するLNG輸入基地の第三者利用、国家備蓄対象化及び枯渇ガス田を利用した貯蔵
・石油製品の国家備蓄分散化、輸入LNG気化ガス貯蔵での枯渇ガス田の利用
・燃料電池自動車等によるV2Xの普及促進等

2 電力需給対策等の推進について
(1)電力供給力の確保
国民生活の安定向上や経済活動の維持・発展に必要な電力を安定的に確保するため、発電設備の新設、改修、復旧等、電力供給力の十分な確保に向けた対策を講じること。 加えてLNGの安価な調達、シェールガス輸入等により、環境にも配慮した電力の低廉な供給を確保すること。

(2)実効性のある節電対策の実施
節電に対する国民及び事業者の最大限の理解と協力を得るため、地方公共団体と緊密な連携のもと、積極的な啓発活動を行うとともに、節電による国民生活や経済活動への影響に十分配慮し、ネガワット取引、時間帯別料金制等の節電に向けたインセンティブとなる電気料金制度の見直し等、引き続き実効性のある節電対策を講じること。

(3)省エネルギー対策の推進
エネルギーの効率的な利用が重要な課題であることを踏まえ、省エネルギー機器やエネルギー・マネジメント・システム、コージェネレーション・システムの導入、省エネ性能に優れた建築物の新設や既存建築物の省エネ改修等に対する支援を継続・強化すること。

〔公式ページ〕
令和3年度国の施策並びに予算に関する提案・要望(エネルギー関係)
※掲載テキストは発表情報の全文または一部抜粋です。元となるプレスリリースは発表元による発表当時のものであり、最新情報とは異なる場合があります。※詳細情報は公式ページをご参照ください。