酷暑の見込みです。水分補給は十分に—。
なんて表現がこの時期には幾度となく繰り返される。
少し退屈で何とも言えぬ飽きはくるが、確かに、毎年毎年、息苦しさが増している。
設定温度は◯度に。これくらいでは勿体ない!
なんてことは誰も言わなくなった。寧ろ、点けっぱなしの方が省エネであるといった見解もあり、世の中的には点けることが推奨されはじめている。
室内での熱中症には気をつけましょう。
もはやテンプレートである。つまるところ、誰だ! 勝手につけたのは! といった慣習は、ほんの数十年の間にいとも簡単に覆され非常識となった。この意味で貴重な現象を我々は目の当たりにし、体験した訳である。
話題の設備は言わずもがなエアコン。昭和初期に誕生した彼らは「空気調整機」と呼ばれ本格的な量産は1950年代に始まった。
当初は室外機と室内機の一体型で、壁から室外機が突き出ているものが主流だったという。設置形態の試行と言えようか。日立ジョンソンコントロールズ空調が窓に設置するウインドウタイプを日本で初めて発売している。その後にセパレート型やヒートポンプ式などの機種が出揃っていった。部屋を暖冷房し快適な空間を創り出す誠実な仕事ぶりが評価され、業務用から一般家庭に至るまで普及の一途を辿っていったのである。
もはや無くてはならない存在。そして、点けっぱなし。こんな贅沢なことがあったろうか。しかしながら、近づくと熱波に見舞われる箱が増殖している様を見かけるたび、これで本当に善いのか。と、パラドックスを感じずにはいられない。
※本記事は次代住宅専門誌 『月刊スマートハウス』 No.56に掲載したものより抜粋しています。
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