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グリーン建築推進フォーラム、工務店のSDGsガイドラインと実践事例を解説

グリーン建築推進フォーラム、工務店のSDGsガイドラインと実践事例を解説

 建築環境・省エネルギー機構(IBEC、村上周三理事長)は2月12日、日本建築センター(橋本公博理事長)、JBN・全国工務店協会(JBN・大野年司会長)、日本サステナブル建築協会(吉野博会長)とともに、省エネや健康、防災など住宅の品質向上を目指す『グリーン建築推進フォーラム』を建築会館ホール(東京都港区)で開催した。今回は工務店のSDGs参画に関するガイドラインや実践例紹介を主題とし、会場には満員となる約250名が参加、SDGsへの関心度の高さが窺えた。

 開会の挨拶では、日本建築センターの香山幹専務理事が登壇。「省エネ適合判定やCASBEE、BELSの評価などを行っているが、グリーン建築の分野として、SDGsについても取り組んでいる。18年には『建築関連産業とSDGs委員会』を設置し、2月には工務店経営において、どのように取り組むか等について、具体的な解決と多数の事例を編纂した工務店版のガイドラインも出版した。今後も建築産業の中でのSDGsの普及に向け、セミナーをはじめ各種の取組を続けていきたい」と意気込みを語った。

 基調講演では、まず国土交通省住宅局住宅生産課の遠山明木造振興室長が木造住宅・建築物の振興に向けた取組について共有。サステナブル建築先導事業など補助事業の参画状況や、大工技能者の不足に対して、技能者の能力を評価するキャリアアップシステムなどを活用した特定技能外国人の受け入れ促進など、持続可能な産業に向けた環境整備への取組について発表した。続いて村上周三理事長がSDGsの理念や地方創生との関連性、工務店が取り組む際に押さえておくべきポイントを解説した。
 主題解説では、工務店版SDGsガイドラインの編纂に携わった法政大学デザイン工学部建築学科の川久保俊准教授、エコワークス小山貴史社長、武蔵野大学工学部環境システム学科の磯辺孝行講師が、SDGsの参画意義や如何にして取り組むかについて解説。ポイントとして「長期優良住宅やZEHなど既に取り組んでいる事業をSDGsで掲げるゴールと関連付ける“後付けマッピング”を行うことで、すぐに始められる」「既存事業との関連を把握することで課題点を洗い出すことができ、将来の取組をSDGsの観点から優先順位を付けられる」など後付けマッピングの重要性を強調した。

 その後は、エバーフィールド、アイ・ホーム、北洲、三承工業などSDGsに積極的に取り組むビルダーを交え、パネルディスカッションを実施。「参画に要する費用は?」という参加者からの質問に対し「後付けマッピングは費用を要しない」「新たな取組として外部施設を設けたが、その分お客様との接触回数が増えたことで成約増に繋がった」「SDGsは非財務的価値となり、ESG投資が向きやすくなる。費用対効果としては中長期的に価値が高まる」など実践から得た経験を共有した。

※本記事は次代住宅専門誌 『月刊スマートハウス』 No.62に掲載したものより抜粋しています。