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【緊急特集】コロナ渦中のスマエネ機器販売店:催事販売の集客減、接触回避で訪販や工事にも影響

【緊急特集】コロナ渦中のスマエネ機器販売店:催事販売の集客減、接触回避で訪販や工事にも影響

 新型コロナウイルスの猛威が依然新として沈静化しない中、国は4月7日、いよいよ緊急事態宣言を発令した。関東、近畿、九州の都市エリアにおいて5月6日まで、外出はもちろん、イベントの開催自粛も要請している。住宅事業者や機器メーカー、特に水廻り設備のモノ不足による引き渡し遅延が問題となっている。一方で太陽光や蓄電池などスマエネ機器の物流は安定しており、機器販売店への影響は軽微かと思われたが、コロナウイルスの深刻化を受け、営業面で大きな打撃を受けている。

催事販売の集客減

 特に影響が大きいのが、催事販売である。ホームセンター 等でのイベント集客を主に手掛けるコスモエコロジー(士田徳治社長)の田口豊和東京支店長は「ホームセンターやショッピングモール自体がイベントを中止せざるを得なく、それに伴い営業できない状況。また成約したお客様からは『工事を延期してほしい』との声も出てきている。3月までは右肩上がりで推移し、4月以降は極力減少輻を抑えたいが、今は企業イメ ージをクリーンに保っためにも自粛し、解禁後に一気に攻めたい」と語る。
 同様に催事を中心とする有力販売店は「開催可能なところでは行っているが、自粛す るケースが増えている。既に厳しい状況 であるが、緊急事態宣言を受け、今後、月間売上は1/3に落ち込む可能性がある」と危惧する。
 
 訪問販売にも一部影響が出ている。エイジー・ジャパン(長岡俊幸社長)の片山尚取締役は「当然ながら他人との接触を避ける行動を取られているため、アポが取れない。進めていた商談も様子見となり成約までいかない。成約済みの工事も延期となるケ ースが出ている」と悩みを明かす。3月は2月受注分もあり月閻売上は30%減で収まったが、4月以降は緊急事態宣言も発令され半減まで覚悟しているという。
 飲食店や娯楽施設など様々な業種にも自粛要請がなされている。「訪問販売業が自粛対象に人っていないことが救い。 対象エリアとなっている束京・神奈川・埼玉・千葉には営業は行わず、茨城や栃木、群馬に傾注する」との販売店もあった。

体制を整える期間と捉える企業も

 ビルダーや工務店とアライアンスを組み、OB客への提案を行っているアローズコーポレーション(弓立昌輝社長)も「アライアンス先のビルダーさんの自粛に伴い、当社も営業できない状況となっている。直販部門も3割減となっており、今後状況によっては5割減の可能性もある」(弓立社長)と見立てる。一方で「この情勢で提案を行っても、本来成約できるチャンスも逃してしまいかねない。今はテレビ会議等を通じ、アライアンス先と話し合い顧客リストを整理し解禁後に一気に動けるように体制を整えている」と語る。
 住宅事業者からの施工を請け負うゴウダ(合田順一社長)の合田純博取締役は「地域によるが特に関東エリアは影響が大きく、消費増税の影響も含めて半減まであり得る。普段なら見えているはずの当面の受注が完工遅れからずれ込んでいる」とするも「今期は、もともと消費増税の反動減に伴う売上減は避けられないと構えていた。売上よりも足元を見直す年と割り切り、営業所の状況や収益改善など社内体制の整備に傾注しているところであったため、タイミングは良かったと言える。無論、想定以上に落ち込む可能性はあるが、市場が動かない今だからこそできることを考え、利益を確保していく。現況を踏まえても減収増益を計画している」と前向きに捉えている。

現状、軽微とする販売店も多数あるが・・・

 現状の影響は軽微とする販売店もみられた。ELJソーラーコーポレーション(小谷謙二社長)は催事販売も手掛け、売上の約30%を占めるが、できる範囲で開催し、現在まで大きな影響はなかったとしている。今後は緊急事態宣言対象エリアである大阪・兵庫・福岡での催事による売上は見込めないとするも、柱の訪販事業が普段と遜色なく手掛けられていること、また関東エリアを商圏に含んでいないことから、全体の売上に対する影響は今のところ軽微であるとしている。
 この他、エコキュートを年間2,000件規模で販売するNEXTAGE GROUP(佐々木洋寧社長)も 「一時エコキュートのモノ不足に陥ったが、現在は安定している。また蓄電池は問題なく入荷できていたため、営業活動は行えている。ショールームでイベントを行えないことや、アポのキャンセル率が5~10%程度あるなど影響はあるものの、現状、大きな被害はない」(桒原象次統括管理本部部長)とする。
 とは言え、多くの企業が「この時期にテレアポまたは訪問営業を行うことに対してクレームが入る」とするほか、客・営業マン相互の体温確認、マスクの配備、アルコール消毒といった徹底した予防措置など、当然ながら普段とは違うやりづらさがあるようだ。このほか「アポを取れない中、ベテランのクローザーに即アポをとってもらうケースもある。しかし本来はアポインターが取るべきであり、社内体制が崩れるためやりたくはないが、背に腹は代えられない」などの悩みの声も聞かれた。ー先ず 5月6日までという目印が設けられているものの、無論、その後の先行きも不透明であり、一向に不安は拭えない状況だ。(4月8日時点)

※次代住宅専門誌『月刊スマートハウス』No.62号(2020年4月20日発刊号)より抜粋